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RDW(赤血球の血液検査項目)の見方・考え方

RDWとは

RDWは、貧血の際に注目する検査所見です。
Red cell distribution width:赤血球容積粒度分布幅という検査の略のことです。
「赤血球の大きさのばらつきがあるかどうか」の指標となります。

 

このページは医療者向けの内容ですので

健康診断でRDWが高い時の項目で、患者さん情報をまとめています。

また、最近のトピックとしてのRDWは、本質的な話ではないので別ページにまとめます。

 

検査の見方・解釈の仕方を解説します。
あまり注目している人が多くないですが、この項目は非常に重要です。

 

 

RDWを見る時は、貧血のある時です。
では、実際にこの項目を解釈するべきタイミングを例に上げ、考えてみましょう。

 

 

RDWを使う時の一例
例えば救急外来や、普段の採血での採血で血球を測定して貧血を認めたとします。
そうすると、次は出血をしていないかな?鉄動態はどうかな?
等々を考えていきたい所なのですが、

 

フェリチンやFe、TIBCのような鉄動態や網赤血球数は測定できない場合もあります。
(救急外来などでは、夜に調べられない施設も多いと思います)
そういった
限られた項目の中で貧血を評価するために、RDWはとても有用です。

 

RDWとは
RDW=赤血球容積粒度分布幅という項目は
赤血球の大きさのばらつきをみるものです
血球の大きさにばらつきがあれば、RDWの数値は大きくなります。

 

 

ばらつきで何が分かるのか。
実際に、救急外来や病棟での急な貧血に役立ちますので
それを例にとって説明します。

 

 

貧血があり
同じMCV(赤血球の大きさの平均値)=90だとした場合
RDW(赤血球の血液検査項目)の見方・考え方
出血などの、血がでてすぐは赤血球の大きさにばらつきがないので、
上図のように、平均の大きさは一定です。
つまりRDW(赤血球の大きさのばらつき))は小さいです。大体の正常値は<15くらいで、多くは12くらいです。

 

 

RDWの値が高い時(>15等)
では、RDWが大きいとはどういうことか、どういう病的意義があるかについて解説します。
鉄欠乏性貧血などの回復過程の血球を考えると、理解しやすいです。
鉄欠乏性貧血では、小球性の貧血となりますが、その回復過程では下図のように回復してきます。
RDW(赤血球の血液検査項目)の見方・考え方
このように、鉄欠乏性貧血で回復過程であれば網赤血球が増え、
網赤血球の大きさはおおきいので、MCV(平均の容積)は一見正球性くらいに見えることもあります。
この時は、赤血球の大きさのばらつきであるRDWは大きくなります
15よりも大きいと、ばらつきがあるな、と考えます。

 

 

 

RDWは大きさのばらつきであるということは理解いただけたでしょうか?

 

 

 

では、今度は具体的な症例での実際の使い方です。

問題:Hbが低く、貧血がある人がいます。
MCVは90%、RDWは12と上昇していません。(15-16以上くらいからRDWの開大があると考えます)
ではこの方は、緊急性があると考えたほうが良いか、どうでしょう?

 

-解説-
この患者さんでは、RDWの開大がなく、正球性の貧血があります。
RDWが開いていないので、同じ大きさの血球の急激な減少、すなわち出血の可能性が懸念されます
また、血球の再生が始まっていない段階(出血してすぐのような状態)と推測されます。
こういう場合は、出血の可能性がより高いかもしれないと慎重に考えることが重要です。

 

 

では、次の問題
問題:Hbが低い人が居ます。
MCVは68%と低値、RDWは20です。
ではこの方は、緊急性は高そうでしょうか?低そうでしょうか?

Answer
この患者さんは、低球性貧血で、RDWが開いています。
鉄欠乏性貧血などからの改善過程の可能性のほうが高いので
緊急性は低いケースが多いのではないか、と推測できます。
(もちろん、これで全てをクリアカットにできるわけではないので、参考になるという話です)

 

臨床的には、上記のような使い方で使っています。

 

 

また、RDWと血球の大きさで鑑別表もあるので掲載します。
これは、病態と大きさのばらつきがどうなるか?と考えてみると分かりやすいと思います。

 

 

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