分数で学ぶ低ナトリウム血症
Naについて勉強しましょう。
低Na血症は、どの科でも頻繁に遭遇します。
研修医の腕の見せ所ですし、
ナトリウム管理について学べば、これから先きっと役に立ちます。
このページでは、ナトリウムと水分の一番大事な話をします。
まず、低ナトリウム血症と聞いて、一番よくある間違いからお話します。
今から質問しますので、答えてみて下さい。
Q:低ナトリウム血症は、ナトリウムの量は多いでしょうか、少ないでしょうか?
答えは、少ない・・ではありません。
多い場合もあり、少ない場合もあります。
図にすると
濃度は濃い薄いで表します
量はどうであれ、相対的に水が多ければ、低ナトリウム血症になります。
この状態を、理想的な体液量・理想的な濃度とします。
すると胃腸炎で有効循環血漿量が減少している患者さんでもNa濃度は140の時もありますし
心不全で体液量が増加している場合でも、Na濃度は140の時もあります。
これは、ナトリウムの総量としては左は少ない状態で、右は多い状態です。
濃度は、バランスです。
水の方が多ければ、濃度は下がります。
ここで、理解を深めるために一つの例を思いついたのでお話します。
このサイトでは、分数で考えるという視点で、ナトリウムを考えていきます。
分数を考えてみましょう。
分母が水・分子がナトリウムです。
このバランスが崩れ、水が多くなったのが低ナトリウム血症です。
例えば理想的なバランスを
とすると、5/5=1が、理想的な濃度となります。
これが1を下回る時が、低ナトリウム血症となります。
例えば、どんな時に1を下回るでしょうか。
ナトリウム量が少ない時も、あまり変化ないときも、多い時も濃度は下がりうるということがわかります。
低ナトリウム血症は、ナトリウムと水のバランスが崩れている状態で
5/5に近づけるように補正する、というのが基本になります。
6/7のような、体液量が多い時に、さらに塩分を足すと、危険になりえます。両方減らして、5/5になるようにすることが治療になります。
患者さんの低ナトリウムを見た時に、分数だとどれくらいか、と考えると、病態や治療方法を考えやすくなります。

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