分数で考えるこれからの低ナトリウム血症-分子の考え方-
分数で考える低ナトリウム血症の講座です。
分数で考えるこれからの輸液をまだ見てない方は、そちらを先にご覧ください。
このページでは、
ナトリウムが少ない 0 ←→ 10 ナトリウムが多い
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水が少ない 0 ←→ 10 水が多い
の、分子の考え方を伝えたいと思います。
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75歳男性 基礎疾患なし
4.5日前から微熱・倦怠感あり、食欲低下
2日前から咳嗽あり、食事がほとんど取れなくなった。
来院当日、SpO2低下、肺炎疑いで紹介受診
血清ナトリウム濃度:130mEq/L
普段より2kgの体重減少あり
分数で言うと?
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ナトリウムが少ない 0 ←→ 10 ナトリウムが多い
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水が少ない 0 ←→ 10 水が多い
この、ナトリウムの多い少ないは、「みため(あなたの主観)」で決まります。
水の多い少ないは「検査をしてみないとわからない」項目です。
ナトリウム量=有効循環血漿量と相関します。
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体液量が多いか・少ないかで評価します。
Capillary refillや起立性低血圧、体重変化、JVDや浮腫、胸部レントゲン写真での肺水腫の有無などで評価します。
JAMAの中に、Is this patient〜〜シリーズというのがあり、その中に
Is this patient hypovolemicという項目があり、それを日本語訳したものを下記に載せます。
体液量の評価
では、その視点でもう一度症例を見てみましょう。
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75歳男性 基礎疾患なし
4.5日前から微熱・倦怠感あり、食欲低下
2日前から咳嗽あり、食事がほとんど取れなくなった。
来院当日、SpO2低下、肺炎疑いで紹介受診
血清ナトリウム濃度:130mEq/L
普段より2kgの体重減少あり
分数で言うと?
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴
病歴でナトリウム量の欠乏(有効循環血症量減少)がありそう。
なので、分子は5よりも小さく、3〜4くらいかな、となります。
(hypovolemic shock(有効循環血漿量減少性ショック)を起こしているほどではなければ、
1とかまでは下がっていないだろうと考えて、大体の量で評価します)
追加で調べたい項目としては、体液量評価の身体所見を取りたいですね。
という感じで、
分子の見方は、体液量で決めます。それは、病歴や身体所見。
といわけで、分子の決め方でした。
ちなみに、訓練のためいくつか症例をだしてみます。まだ今イチ自信ないよ、という場合は是非やってみてください。
症例:75歳男性 心不全で加療中
4.5日前から浮腫・夜間の呼吸苦あり
2日前から夜眠れないくらいになり、?利尿剤等の内服を自己中断。
来院当日、SpO2低下、レントゲンで肺水腫あり紹介受診
血清ナトリウム濃度:130mEq/L
普段より5kgの体重増加あり
分数で言うと?
体液量は増加しているため、分子は5より大きくなります。
7-8くらいでしょうか。
ちょっと浮腫だと6くらい、
軽く呼吸苦があると7くらい
心不全症状が強いと8くらい
もっと多いと9-10くらい
おおざっぱですが、そんな感じです。
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