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経管栄養とGFO

経管栄養とGFO

経管栄養の製品として、GFOと言われるものがあります.

 

主に、長期に絶食していた患者さんや、食事を取らない方の
腸の状態を保つ働きのある栄養素材の集まりを指します。

 

これを勉強すると、経管栄養の選び方や
腸粘膜について少しイメージが深まりますので解説します.

 

長期絶食をしている患者さんでは、腸粘膜も萎縮し、消化・吸収が低下することがあります。
これらを予防するための成分補給剤の1つが、GFOです。

 

長期絶食時からの食事再開では、下痢や嘔吐などの消化管症状が出やすいです。
そのため、「なるべく絶食にしない」「絶食からの再開時は注意」
し、かつ少しの水や、ごく少量の食事が取れるようなときは
絶食⇒食事のツナギとして、GFOという選択をする場合があります。

 

 

GFOとは

 

GFOとは、腸に必要な栄養素の頭文字です。

G:グルタミン
F:Fiber(ファイバー=食物繊維)
O:オリゴ糖

の頭文字です。

 

 

 

グルタミン

 

グルタミンは、小腸の細胞・大腸の細胞・リンパ球(免疫細胞)
の、重要な栄養源となる物質です。
グルタミンの補給によって腸粘膜の構造を維持できる、ということが知られています。疾患が重症の場合ほど、グルタミンの量が多く必要となります。

 

 

ファイバー(食物繊維)

 

 

食物繊維は、
「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分」というもので
三大栄養素としての位置づけは、下記のようになります。

 

?たん白質
?炭水化物
ー糖質
・・・デキストリン、砂糖など
・・・オリゴ糖 ⇒ ラフィノース、フラクトオリゴ糖
ー食物繊維
・・・不溶性食物繊維 ⇒ 結晶セルロース
・・・水溶性食物繊維 ⇒ 難消化性デキストリン

?脂質

 

 

不溶性食物繊維(セルロース)
結晶セルロースには、糞便量を増やす作用があります。

 

水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)
整腸作用があります。排便回数・排便量の増加が見られます。

 

これらは、小腸上部では吸収されず、下部で腸内細菌に分解されます。
短鎖脂肪酸として分解され、腸の粘膜に利用されます。

 

 

 

オリゴ糖

 

オリゴ糖(ラフィノース、フラクトオリゴ糖)の作用は整腸作用です。
オリゴ糖をエネルギーとして使う、ビフィズス菌の増加が見られたり、腸内細菌叢が壊れないように作用します。

 

最少有効量 
ラフィノース 3g/日 (ラフィノースは砂糖大根を原料としたオリゴ糖)
フラクトオリゴ糖 3g/日 (フラクトオリゴ糖は砂糖を原料としたオリゴ糖)

 

 

 

 

 

GFOまとめ

 

GFOは、腸に対しての栄養成分・腸粘膜の構造維持・整腸作用のある
製剤の頭文字の集合です。

 

長期絶食の食事再開時に役立つことがあります。
長期絶食時の注意点としては、
可能な限り、腸管を利用できないか考え、絶食期間をできるだけ短くする
選択肢の1つに、GFOがある。

 

ということです。

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