NSAIDsの種類ごとの使い分け

NSAIDsの種類ごとの使い分け

 

NSAIDsの使い分け方

 

 

NSAIDsの副作用には、アレルギー等は別として

 

・胃腸障害(消化管潰瘍、小腸びらん、出血、穿孔、閉塞)
・腎機能障害(腎障害、間質性腎炎、高カリウム血症、ナトリウム貯留)
・心血管障害(心不全、心筋梗塞)

 

等の副作用が知られています。

 

 

使用前に・・・NSAIDsが使用できるか。どのようなリスクがあるかを把握する

喘息がないかを確認します。10%-20%程度の喘息患者はアスピリンに対して過敏性があるので、喘息患者さんでは使用しづらいためです。

 

COX-1が保護的なPGを産生するので選択的COX-2阻害薬は誘発しづらいとされていますが、そもそもアスピリン喘息の本体は、COX阻害によるロイコトリエンの産生増加が原因なので、注意が必要です。チアラミド塩酸塩(ソランタール)は喘息増悪のリスクは比較的少ないとされています。(添付文書の確認は必須です)

 

基本的に、NSAIDsを処方する際には
「使用しなければいけない状態なのかの把握」が重要です。

 

→NSAIDsとアセトアミノフェンの使い分け

 

痛風などで、短期間に抗炎症効果を期待して使用したい、というのはNSIADs使用のよい適応です。逆に、アセトアミノフェンでコントロール難しい疼痛などの場合は、増量やトラマドールの併用(トラムセット)などで対処できないか検討しましょう。

 

 

NSAIDsによる腎障害は、避けられないリスク 

NSAIDsによる腎障害は、COX2選択制が高いものであってもある程度避けられないリスクになります。腎臓では COX?1 だけでなくCOX?2 も元々発現していて、 腎血流量や糸球体濾過率の調節をや、レニン分泌の調整なども行っています。

 

半減期の長いNSAIDsの方が、腎障害が強く出る傾向にあるので、半減期の長い薬剤は特に注意が必要です。また確固たる根拠が出ているわけではありませんがCOX2選択性が高いものの方が腎障害が増えない傾向にあるという報告もあることから、トータルで選ぶ場合は半減期が6時間と1日2回投与薬としては比較的短めなエトドラク(ハイペン)が好まれることがあります。またロキソプロフェン(ロキソニン)も、なれているのと半減期が1.3時間と短いことから、使用されることもあります。

 

 

下記のような時には、実測のCre値、eGFRの値以上に注意が必要です。
Risk factors for NSAID-induced renal toxicity
Volume depletion
Congestive heart failure
Hepatic diseases (ascites, liver failure)
Sodium depletion
Concomitant drug therapy (diuretics, ACE inhibitors)
Age (>60 years) with co-morbidities
Chronic NSAID use
Multiple NSAID use
Dehydration
Nephrotic syndrome
Hypertension

 

Pain Medicine 2013; 14: S23?S28

 

腎障害を有する患者では、なるべく使用を避けることを考え、もし使うとしても
・半減期が短い
・COX2選択性が高い(エビデンス弱い)
方が、まだマシという感覚です。

 

 消化管潰瘍リスクvs心血管リスク

消化管のリスク

NSAIDsの種類ごとの使い分け

 

 

(Rheumatology 2010;49:ii3-ii10 フリーで読めます)

 

 

NSAIDsは消化管潰瘍のリスクになります。
特に、@以前の重篤な潰瘍(OR:13.5) Aアスピリンを含む複数NSAIDs(ASA含む)(OR:8.9)B高用量NSAIDs(OR:7) C抗凝固療法(OR:6.4) D軽度消化性潰瘍既往(OR:6.1)E高齢70-80歳(OR:5.6) FHelicobacrter.pylori感染(OR:3.6) Gステロイド併用(OR:2.2)

 

NSAIDsの種類ごとの使い分け
これは、
@セレコキシブ(セレコックス)単独で、胃薬を使わない群 と
Aナプロキサン(ナイキサン)の消化管潰瘍の比較
を比較し、PPIを使用してもセレコックスの方が消化管潰瘍が少なかったというデータです。

 

消化管潰瘍のリスクは、COX2選択的な阻害剤の方がリスクが少ないので、エトドラク(ハイペン)、メロキシカム(モービック)、セレコキシブ(セレコックス)が胃腸障害の少ないNSAIDsとして選ばれます。

 

ちなみに、PPIの併用の話などもありますが、NSAIDsは小腸病変や、下部消化管出血のリスクも上がります。なので上部だけと勘違いしないようにしましょう。

 

心血管リスク

 

COX2阻害剤は、2000年のVIGOR試験でロフェコキシブとナプロキセンの比較を行い、ロフェコキシブが4倍心血管イベントが多かったという報告が出て知られるようになりました。(ロフェコキシブはその後市場から消えています)

 

その後、セレコキシブ(セレコックス)も心血管イベントをどうも増やしそうだ、ということで考えられています。COX2阻害剤以外の、ほかのNSAIDsもある程度心血管イベントを増やすと考えられています。セレコキシブ(セレコックス)も400mg1日1回ならば心血管リスク増加よりも、200mg1日2回でリスク増加し、400mg1日2回で更にリスク増加するという容量依存的な関係がみられています(量が多いほどリスクが増える)。

 

 

http://circ.ahajournals.org/content/128/16/e240.extract 2013のACCF/AHAのガイドラインでは、NSAIDsについて下記のように記載されています。
Several observational cohort studies have revealed increased morbidity and mortality in patients with HF using either nonselective or selective NSAIDs
つまり、心不全のある患者では、NSAIDsは、COX選択性でもそうでなくても、心血管合併症と死亡率を上げる、とされています。ただ、やはりCOX2阻害作用の強いものの方が心配が増える印象ではあります。血小板凝集にはCOX1 による代謝産物トロンボキサンA2 が関与し、血小板凝集抑制には COX1 とCOX2両方によって誘導されるプロスタサイクリン(PGI2)が働き、このバランスが崩れることが原因と提唱されているからです。

 

 

COX2阻害剤として有名な薬剤でなくても、ジクロフェナク(ボルタレン)のようにCOX2選択性が比較的高い製剤も隠れていることがあるので要注意です。

 

 

その中で、どのNSAIDsがまだマシか、ということに関しては、Naproxen(ナイキサン)が比較的よい成績を上げていることが多いです。

 

NSAIDsの種類ごとの使い分け

 

各NSAIDsでの比較では、
Rofecoxib HR 1.7
Celecoxib HR 1.75
Ibuprofen HR 1.31
Diclofenac HR 2.08
Naproxen HR 1.22
Other HR 1.28
となっています。

 

NSAID Treatment Duration and CV Risk After MI

 

 

また、2015のJAMAでは、心筋梗塞後でアスピリン・クロピドグレル等の薬剤を使用している患者ごとの、NSAIDsと抗血小板剤の組み合わせごとの出血×血管イベントで集計してあって読みやすいです。Freeで読めます。
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2130316

 

私の場合、もし心血管イベントが心配な方で、短期で使用する場合、出血リスクが少なければナプロキセン(ナイキサン)を使用します(PPI、サイトテックorレバミピド併用で)。

 

 

痛みに対する効果での使い分け

NSAIDs による鎮痛効果は、プロスタグランジン阻害により間接的にもたらされると考えられています。ジクロフェナクの座薬(ボルタレン坐剤)などは、血中濃度が上がりやすく鎮痛効果が強いと考えられています。またイブプロフェン(ブルフェン)も鎮痛効果は強いとされています。

 

 

 

そのほかの使い分け

そのほか、セレコキシブ(セレコックス)にはサルファ剤が入っており、サルファアレルギー患者では投与注意です。また、肝障害のある患者では(NSAIDsの中でも複雑な化学構造・プロドラッグタイプの製剤は注意)、2週間から3ヶ月ほどで起こりやすいため注意が必要です。

 

 

 

簡単な使い分けの一案

ということで
・心血管リスク
・出血リスク
の2軸で分けていき

 

 

重篤な消化性潰瘍既往や複数の上部消化管risk factorsなどがあり
心血管リスクの高くない人
こういう人は、予防をしながらCOX阻害剤系で選び

 

心臓のリスクがある人で、心血管リスク > 出血リスクと判断できる人であれば
ナプロキセン+PPI+サイトテックまたはレバミピド

 

 

というのはNSAIDsの選び方の一つだと思います。