分数で考える生理食塩水と5%ブドウ糖

分数で考える生理食塩水と5%ブドウ糖

 

このページでは、
「分数で考える輸液」というテーマの中で
生理食塩水と5%のブドウ糖は、どのような位置づけ・考え方の輸液となるか
というお話をします。

 

「分数で考える輸液」の概念は、こちらに一覧がありますので
まだご覧になられていない場合は参照してください。

 

 

この概念を使って、輸液について解説します。

 

ナトリウムが少ない 0 ←→ 10 ナトリウムが多い   
――――――――――――――――――――――――
   水が少ない  0 ←→ 10   水が多い 

 

 

□生理食塩水とは□
生理食塩水は、Naが154mEq/L含まれている液体です。
「ナトリウム」と「水」の両方が含まれています。
なので、分子のナトリウム・分母の水の両方ともを増やす溶液です。

 

 5      7
--- → ---- 
 5      7

 

という向きに向かう、ということです。

 

 

 

 

□5%ブドウ糖とは□
では、5%ブドウ糖を入れた場合はどうなるか、というと
ブドウ糖は体の中に入ると、速やかに代謝されて、水を入れたのと同じ働きになります。
純粋に、「水だけを入れた」のと同じ効果となります。

 

 5     5    
--- → --- 
 5     7 

 

5%のブドウ糖は、上記のように増やしていく輸液になります。

 

 

分数で、この輸液はどのように動かしたいと考えているのか、というのを考えると、
輸液は上手くいきます。

 

 

 

例えば、有効循環血漿量減少を伴う高ナトリウム血症の場合を考えてみましょう。
 3         
---  
 2   
という体液量と推定された場合、じゃあどうすればよいか、と考えると

 

 

 3     5    
--- → --- 
 2     5
に持っていきたいな、となります。

 

 

そうすると、
・ナトリウムを入れる
・水を入れる
という、この両方が必要なことが分かります。

 

 

そうすると、生食だけでも、ブドウ糖だけでもいけなく、
両方を混ぜ合わせる、というのが良いと推測できるでしょう。

 

 

このように、輸液も分数で捉えるようにしておくと、
「今、どのように治療を進めようとしているのか」というのがしっかりと考えられると思います。

 

 

 

 

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