分数で考えるこれからの輸液-視点の持ち方-
このページでは
「輸液・点滴を組み立てが上手になる」ために
一つの視点を提案したいと思います。
その前に、これを見てみてください。
これ、どんな柄ですか?
・・・これは、千鳥格子と呼びます。
その概念を知らない人が見ると、チェック柄のように見えます。
けど、知っていれば、千鳥格子にしかみえません。
もし、千鳥格子って概念を知らなければ、外ですれ違う人たちのファッションに
意識がいかず、チェック柄かな、と思ってしまう、ということです。
これはほんの一例で、
人の意識は、日常の中で沢山の情報を見落としています。
でも逆に、「意識づけをすると、その後はそれに気がつく」ようになっていきます。
では、輸液を考える上で、もっとも大切な意識づけをこのページでしてみましょう。
と考えます。
この分数に当てはめてみます。
人の体液量の中で最も重要な2つの要素は
・ナトリウム
・水
この2つ。輸液を考える上でも、この2つが一番重要です。
なので、この2つを使った分数にしてみて下さい。
ナトリウムが少ない 0 ←→ 10 ナトリウムが多い
――――――――――――――――――――――――
水が少ない 0 ←→ 10 水が多い
それぞれを10段階で評価します。
します。
5
------
5
これを理想的な体液量・理想的な濃度としたときに、
「目の前の患者さんはどうかな?」
というように考えます。
そうすると、下痢で有効循環血漿量が明らかに低下していて、ナトリウム濃度が正常な場合は
2
------
2
という状態になりますよね。
では、これの
左と右の差は?
Na濃度は正常域の
左は有効循環血症量減少の患者さんと
右はVolume overloadの患者さんとなります。
この視点で輸液・電解質を勉強していきます。
低ナトリウム血症の理解も、この分数では理解しやすくなります。
では、やってみましょう。
血清ナトリウム濃度は
140mmol/Lとか、140mEq/ Lってなっていますね。
この数値が高いか低いかで、
低ナトリウム血症・高ナトリウム血症と診断します。
この、低ナトリウム血症って、「濃度」が低い状態
・・・・ですよね?
5
------
5
この濃度と比較して
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これよりも小さい(1より小さい)状態なら、低ナトリウム血症になります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その組み合わせを、並べてみましょう。
3
------
4
4
------
5
5
------
6
6
------
7
4
------
8
どれも、1より小さくなりますよね。
これらすべて、低ナトリウム血症の状態です。
ナトリウムが少ない 0 ←→ 10 ナトリウムが多い
――――――――――――――――――――――――
水が少ない 0 ←→ 10 水が多い
という目で分子をみるとどうでしょうか?
ナトリウム量は多い時も少ない時もあるのです。
輸液の苦手な人・下手な人は
5 8
------ と ------
5 8
は同じように考えています。
なので、沢山輸液しすぎて肺水腫になったり
普段から輸液をしていたら低ナトリウム血症になってしまったりします。
輸液の基本は、
5
------
5
にもっていくことです。
そしてこれを、保つことです。
分数の数値が乱れているなら、治すように輸液メニューを調節すればよいです。
じゃあ、(まだできなくても問題ないですが)
試しに、患者さんを瞬間的に分数化してみましょう!!!
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴
75歳男性 基礎疾患なし
4.5日前から微熱・倦怠感あり、食欲低下
2日前から咳嗽あり、食事がほとんど取れなくなった。
来院当日、SpO2低下、肺炎疑いで紹介受診
血清ナトリウム濃度:130mEq/L
普段より2kgの体重減少あり
分数で言うと?
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵∴‥∵‥∴
3
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4
4
---
5
という答えを期待します。
ナトリウムの量はどうだろう
濃度を考えると、水はどうだろう。
というふうに、「分数」という視点を持ってナトリウム・水を見始めた時に
「あ。これくらいかな・・!」
って見えてきます。
治療も
輸液メニューの考え方も
低ナトリウム血症の治療も
この視点を持ってスタートすると
とても上達します。
患者さんを見たら、まず分数で表してみる。
今の体液量を、分数で評価してみましょう!
ナトリウムが少ない 0 ←→ 10 ナトリウムが多い
――――――――――――――――――――――――
水が少ない 0 ←→ 10 水が多い
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