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甲状腺機能亢進症と低カリウム(周期性四肢麻痺)

甲状腺機能亢進症と低カリウム(周期性四肢麻痺)

 

低カリウム血症の鑑別に、甲状腺機能亢進症を入れましょう。
甲状腺機能検査項目(TSH,FT3,FT4)を測定することで、すぐに診断できます。

 

 

典型的な病歴としては、

・若年者(20代〜40代の男性)で
・炭水化物をドカ食いして(もしくは運動などの負荷後)
・午後九時〜午前9時頃に発症(朝にやってくる低K)

 

というのが特徴です。

 

 

日勤帯でも夜勤帯でも甲状腺機能を測定できれば良いですが、測定できない場合はエコーも有用です。
http://www.naka-cl.jp/thyroid3.html
こういうように、甲状腺機能亢進症では血流量が豊富となるので、さっと当てることで診断できます。

 

 

Rebound hyperkaemiaに注意

Rebound hyperkaemiaとは、低カリウム血症の治療中に高カリウム血症になってしまうことです。甲状腺機能亢進症の患者さんでは、Rebound hyperkaemiaのリスクがあるため注意が必要です。

 

甲状腺機能亢進症による低カリウム血症では、体内のカリウムはどこに移動しているでしょうか?

 

これが非常に重要で、カリウムは細胞内にとりこまれているだけなので、体内の総量では少なくなっていません。そういった方に、高容量の塩化カリウムを投与すると、治療中に高カリウム血症に移行してしまう場合があります。

 

(機序としては、β2刺激で細胞内に移行するのと、骨格筋でのNa/K ATPase発現を誘導するといわれています)

 

そのため、甲状腺機能亢進症の低カリウム血症は、他の低カリウム血症と違い、治療のカリウム投与量を減らす必要があります。それもあって、甲状腺機能亢進症の低カリウム血症は、診断をつけなければいけないのです。

 

 

甲状腺機能亢進症の低カリウム血症治療(

急性期はICUに入れて、高容量のプラプラノロール(3mg/kg)が急性期の低カリウム・低Pなどに効果があります。

 

カリウムを投与する場合は、10mml/h以内にしたうえで、頻繁に採血をするということが大事です。

 

 

頻繁に調べ、上がりすぎに注意していく、というのが甲状腺機能亢進症の低カリウムの最大の注意点になります。

 

 

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