経管栄養注入速度
経管栄養の注入速度は、大きく2つに分けられます。
1.間欠的投与
2.持続的投与
この2つの投与方法があります。
この違いを知ることは、例えば「経管栄養の患者さんが下痢をしている時」などに非常に役立ちます。
経管栄養の間欠的投与とは
普段の食事のように、1日何回、と食べる回数が設定され
食べる時間と食べない時間に分かれることを指します。
このようなな感じです。
朝・昼・夜のように3回に分ける、というような投与方法を間欠的投与と呼びます。
間欠的投与のメリット
間欠的投与法は
普段の食事と同じように栄養を摂取・消化することが可能です。
投与速度としては、
一回あたり、250~500mlほどの経管栄養剤を投与し
これを30分〜2時間ほどで投与します。
経管栄養の投与速度が100ml/hを超えると下痢がおこりやすくなることもあり、
下痢などの合併がないか見ながら、適宜投与時間は調整する必要があります。
1日回数は3回である必要は必ずしもなく、もっと増やすことも可能です。
経腸栄養剤投与時および投与終了後1〜2時間はベッドを30度以上起こすことが推奨されています。
経管栄養の持続的投与とは
持続的投与は、24時間または都合の良い時間帯に持続的に投与する方法です。
投与量を投与時間で割ってあげれば、投与速度が出ます。
安定した速度で投与するために、栄養ポンプという投与速度を調節する機械(点滴の場合の輸液ポンプのようなもの)を使用することが多いです。
投与速度は緩やかな方が、下痢・嘔吐などの症状が出にくいため
投与をゆっくり行うことで症状改善を図るときや、
それらの症状が出にくいように、持続的投与⇒慣れたら間欠投与
というように、スタートとして用いられることがあります。
経管栄養における、下痢・嘔吐と投与速度
栄養剤を急に・早く投与した場合にも下痢が起こることがあります。
特に、十二指腸や空腸からの投与では下痢が発生しやすいと言われています。
経管チューブが深いようでしたら、十二指腸に入っていることがあるかもしれませんので、胃の中にとどまる範囲で抜いてみるのも1つの選択肢かもしれません。
下痢を起こした際の速度調整としては、下痢の場合は投与速度を50%ほどに落としてみるのが一般的です。
栄養剤の浸透圧を下げるよりも、投与速度をゆっくりにした方が下痢になるリスクは減ると言われています。
嘔吐も経管栄養の投与速度と関連があり、
投与速度が早い場合や、投与速度を急に変化させると、嘔吐してしまう場合があります。
嘔吐があるようなら、1時間あたり25~50mlほどに速度を落とし、その後慣れてきたら投与速度を上げていく、というプランをとることも有効です。
投与速度はゆっくりと投与した方が合併症のリスクは下がる傾向が多いです
ただ、施設での人員だったり、介護者の負担等もあるので、
患者さんに合わせて投与メニューを組む必要があります。
下痢・嘔吐などの合併症対策として、経管栄養の投与速度がかかわってくることもあり、それの調整で改善することがあるので、調整してあげましょう。