ステロイド内服中の患者さん

ステロイド内服中の患者さんが受診した時の注意点

ステロイド内服中の患者さんが受診した時の注意点

ステロイド内服中の患者さんが、体調不良で来院した時の注意点を解説します。

 

 

 

スライドの解説-ステロイドの副作用全般部分-
まず、ステロイドの副作用全般を、初めのスライドに載せています。
しかし、より重要なのは、飲み始めてからの副作用が出始める時系列で覚えることが重要です。

 

 

開始当日     不眠、鬱、精神高揚、食欲亢進
数日後      血圧上昇、Na↑、K↓、浮腫
2〜3週間後  副腎抑制、血糖上昇、コレステロール上昇、創傷治癒遅延、ステロイド潰瘍
1ヶ月後     易感染性、中心性肥満、多毛、座瘡、無月経
1ヶ月以上後  紫斑、皮膚線条、ステロイド筋症
長期的に・無菌性骨壊死、骨粗鬆症、圧迫骨折、白内障、緑内障

 

こういった時系列を意識することが大事です。

 

その中で、救急外来などの急性期の状態で重要となるのは

・免疫抑制状態であること
・副腎機能低下を起こしていることがある

という点です。

 

 

 

ステロイドと感染症

 

ステロイドの量にもよりますが色々な感染が重篤になりやすかったり、
普段起こらないような菌の感染を起こすこともあります。
特に、細胞性免疫障害を起こすため、スライドのようなウイルス・細胞内寄生菌(レジオネラや結核など)の感染に注意が必要です。

 

 

これについて、細胞性免疫障害の部分に関しては、レジデントのための感染症診療マニュアルの、16章の【免疫不全と感染症】という部分が、解釈をつかむのに一番読みやすいです。
また、一見とっつきにくそうに見える本なのですが、腎移植感染症マニュアルという本があって、これは例えばサイトメガロウイルス感染についてのC7-HRPはどういう意味付けでどういうふうに治療しようか、ということなどの具体的疾患についてかなり詳しく書いてあって、初めて読むのにもとても良い本だと思います。

 

 

普段なかなか見かけない菌が多いので、さっと概略をつかむためには、上記の本を読んでみるとよいでしょう。
(英語でも良いのですが、ちょっと読みにくい表現というか解釈が難しい気がしました)

 

.

 

 

 

ステロイドと副腎機能低下

 

特に、ステロイド内服中の患者さんで原因不明の低血圧や低血糖を見た時には
副腎機能低下を起こしていないか、注意をしましょう。

 

 

普段、体にストレスが掛かる時(感染や手術などの侵襲)、副腎から普段よりも多くのコルチゾルが分泌されます。
しかし、ステロイドを長期に内服している方は、外から十分量の副腎ホルモンが出ているため、
自力で分泌する必要がなくなり
その状態が持続すると、分泌をお休みしてしまうことがあります。

 

ステロイド内服中の患者さんが受診した時の注意点

 

このようにしないといけない状態が
ステロイド内服中の患者さんが受診した時の注意点

 

副腎や休んでしまい、ストレス時に必要な量のホルモン量を確保できなくなってしまい、
副腎不全の状態になってしまいます。

 

 

「どれぐらいの期間・どれくらいの量のステロイドを内服すると副腎不全となるか」
については、

 

 

普段が、維持量程度(5mg前後)の場合、感染等による相対的な副腎不全予防・対策の検討が必要です。
その際の対応・治療に関しては、ハリソン内科学の副腎不全の項目が読みやすいです。(特にteparing regimenに関しては)
また、UP TO DATEの、「Treatment of adrenal insufficiency in adult」では、いくつかの状況ごとに分類して提唱しています。

 

@minor illuness
Asurgery(手術等)
BEmergency precaution
CCritical illuness

 

等の分類をしています。

 

どんな状況下であればどれくらいの量のステロイド補充が必要かという正確なデータは
今のところ出ていないのが現状です。

 

しかし、経験的にこれくらい、というのがUp to dateにありましたのでまとめます。

 

 

@minor illuness
上気道感染の軽微なものなどのように、軽い症状の患者さんであれば、普段の使用量の2〜3倍くらいのステロイドを3日ほど というのが推奨されています。
(3days rule  や、3×3ruleと言われています。)

 

CCritical illuness
この領域はまだコンセンサスのない領域ではあります。

 

 

ちなみに、
例えば副腎不全のショック状態である場合には、副腎不全の対象は救急時の対応として、
Give 4mg dexamethasone as intravenous bolus over one to five minutes and every 12hours thereafter. Dexamethasone is the drug of choice because it dose not interfere with the mesurement of plasma cortisol. if dexamethasone in inavailable, intrabenous hydrocortisone, 100mg immediately and every six hours thereafter,may be used
(Up to date Treatment of adrenal insufficiency in adult 2013より引用)

 

4mgのデキサメタゾンをiv(副腎機能のテスト等やホルモンの基礎値に影響しにくいため)を使用し、12hごと
それが困難であれば、ハイドロコルチゾン100mg ivを6時間ごと
というような記載もあります。

 

 

ということで、ステロイド内服中の方では

・免疫抑制状態であること
・副腎機能低下を起こしていることがある

ということに、十分注意しましょう。

 

 

 

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