難聴の患者さん

難聴の患者さんが受診した時の、コミュニケーションのコツ

救急や、普段の外来で時間に追われている時に
難聴の患者さんが受診して普段の外来よりも時間がかかることがあり
時間に焦ってしまう時があります。

 

 

そういう時に、便利な方法を2つ紹介します。

 

 

難聴であまり問診できず・・・ということになってしまうケースもあるのですが
しかし、逆に患者さんの立場になって考えると
医療者の言っている言葉が聞こえず不安になったり、伝えたいことを十分に伝えられなかったりと、歯がゆい思いをさせてしまっていることは多いと思います。

 

 

実際に、他の患者さんよりも外来の時間が長くなることは多いです。
しかし、かかる時間が長くなるから問診できないというのは、良いことではないと私は思っています。

 

 

短い時間でも効率的に聞けるということは、それだけ診療の質も上がると思っています。

 

今回の方法は、難聴の中でも、耳はほとんど聞こえないが、喋ったりはできて意思は伝えられる、という人向けの方法です。

 

 

 

 

まず、電子カルテで座りながら診療する場合

 

@使っているキーボードの右下の、Ctrlというキー(コントロールキー)を押す
A押しながら、マウスホイールを上に回す

 

という方法をします。
そうすると、画面が拡大します。
 
 
難聴の患者さんが受診した時

 

     ↓ちょっと拡大させるとこんな感じになります。
難聴の患者さんが受診した時

 

 

これを使って、カルテの画面上で筆談をします。

 

 

普段、紙を使って筆談で問診する場合、
紙に書いて、それを書き写して、という流れに時間がかかったり
書いた字が小さくて読めなかったりすると、書き直す時間がかかります。

 

 

カルテの画面上、またはワード上で筆談をすれば、その時間はとても短縮できます。
その分、問診で聞く項目をしっかり聞く時間に充てることができます。

 

 

また書いた文章のニュアンスが伝わりにくかったりした時も、すぐに修正できますので、聞きたい項目についてしっかりと聞ききることができるようになります

 

 

体感では、同じ情報量を得るのにも、速さが5倍くらいになります。

 

 

※ただ、注意点として、非言語的な表現というのもあって、
カルテで文字を書くだけの無機質な問診にならないように気をつけたい所です。
紙に書く場合だと一生懸命な所が伝わる時がありますからね。

 

 

 

もしくは、カルテでそれができない場合、
ワードを使うこともあります。

ワードのフォントサイズを変えて、読みやすい大きさで筆談をします。

 

 

 

フォントサイズを変えて問診する例-

 

小さいフォント⇒大きいフォントへ

難聴の患者さんが受診した時

ワードのフォントサイズを変えると、【高齢の方で難聴+目が少し悪い方】でも
読みやすく表示できます。

 

 

また、こうやって聞いた内容を、こちらがきちんと書いているのを見れば、
「あぁ、喋った内容がちゃんと伝わったんだな」と安心感を持ってもらえることが多いように思います。

 

 

慣れてくれば、この時に、時々コミュニケーションの言葉を入れたりしてもよいでしょう。
(共感などの問診技術で、ちゃんと心配している内容をわかっているよと伝えてあげる)

 

 

この方法を何回かしてみると、一見無機質なパソコン画面も、
意外と良いコミュニケーションツールにできるということがわかります。

 

もしよかったら試してみて下さい。

 

 

 

補聴器をおいてきた患者さん

 

補聴器を忘れてきてしまって、うまくコミュニケーションが取れない難聴の患者さんに対しては、聴診器が役に立つことがあります。
伝音性難聴の場合、聴診器を患者さんの耳につけて、チェストピースに向かって話しかけると、聞こえが良くなることがあるのです。

 

・・・といっても、これは私のアイデアではなくて、

という、林先生の本に書いてあった方法です。

 

 

実際にこの方法はとても有効で
聞こえることで、コミュニケーションはかなり良くなります。

 

 

また、少し脱線しますが入院中の患者さんで認知症だと思われていた方で
耳垢塞栓(耳垢が詰まる)ために難聴で会話できなかっただけ、という方を数人経験したこともあります。

 

 

難聴で、という方には、(断りをえた上で)聴診器を当てて話しかけてみると、良い結果が生まれることも多いです。
見た目が美しいとは言いがたい状態なので、ご家族の方にも予め
「難聴の方で、聴診器を当てると声がよく聞こえることがあるんですが、当てさせて頂いてもよろしいでしょうか?」等はお伝えしておいたほうが良いと思います。

 

 

 

@パソコン画面の拡大・フォントサイズの調整
A聴診器を使う

 

 

という、シンプルな方法なんですが
難聴で困っている患者さんの役に立つ手段になればいいなと思って、普段使っている方法を2つ紹介しました。

 

 

難聴の患者さんでも、ちゃんと問診すればちゃんと必要な情報を集められることもあるので、結局はするかしないかなんだと思います。
私は、ちゃんと聞いてみたいと思っています。

 

 

入院の高齢患者さんで、認知症かな?と思ったときに
実は耳垢塞栓(耳垢が詰まって聞こえなく反応が悪い)ということがあるので
気を付けてあげましょう。