透析患者の水分管理 点滴・輸液の考え方
透析患者の水分管理 点滴・輸液の考え方を解説します。
透析患者さんでは、以下の
1.透析の時に、全ての体液量が引けるわけではない
2.尿が出るか確認する
3.カリウムについて
4.ビタミンが不足することがある
5.心不全の合併が多い
の5つのポイントが重要なのでそれぞれお話します。
1.透析の時に、全ての体液量が引けるわけではない
透析では、ドライウエイトというものを設定して、体液量は過剰にならない印象があるかもしれませんが、輸液メニューを考える上では、どれだけ入れても良い訳ではありません。
というのも。透析ごとにドライウエイトまで引くのですが
数日間で増えた体重分は血管内から引いていくことしかできません。
細胞外液量は、間質と血管内に分布しています。
このように、体液量増加分は細胞外液として貯まるので、
4kg増えたとしたら、血管内は1kg分しか増えていません。
その体液量増加分どうするかというと、下図のように増えた分を血管内から除水するのです。
体液量増加が多い場合には間質にも沢山溜まっています。
その分全部を、血管内から引くので、血管内は凄く少なくなってしまいます。
体液量が増える量が増えると、除水しないと行けない量も増えます。
その量を血管内から除水するので
除水するのは中段の緑色のような量になります。
すると血管内のボリュームは少なくなります
そうすると、透析後半などで血圧が下がって、透析継続が困難になったり
水を引ききれず、除水困難になったりします。
なので、要らない塩分・水分は入れすぎないように気をつけてくださいね^^
目安は2点です。
・透析間の体重増加が透析中1日は3%程、中2日は5%程以下が推奨されている
・透析時に血圧が下がり過ぎるようなら透析間の体重増加を見直し、輸液量を減らせないか考える
というように調整してみてください。
では、次の項目です。
2.透析患者さんでは尿が出るか確認する
透析が始まると、尿は数年以内くらいに出なくなります。
透析を開始した時の状態にもよるのですが、初めはまだ残腎機能(腎臓の残っている力)があるため、1日に数百mlは尿が出ます。
なので、まずは患者さんに、まだ尿が出る状態か聞いてみましょう。
出る場合は、体液量のコントロールがつけやすいです。
出ない場合は、点滴で塩分水分を沢山入れ過ぎると、それぞれ体液量過剰となってしまうので注意が必要です。(カリウムについては次の項目)
沢山輸液し過ぎた場合にどうなるかは、輸液の最も必要な考え方を参考にしてください。
3.カリウムについて
腎不全・無尿ですので、カリウムを入れ過ぎると高カリウム血症になります。
ただ、全く入れないと、透析や排便などでカリウムが出るだけになってしまうので、点滴だけの場合には多少はカリウムを入れることを考えて下さい。
来院時に高カリウム血症でないのであれば、10-20mEqくらい入れつつ数値をフォローするか、入れない場合は下がってこないか確認して下さい。
4.ビタミンが不足することがある
ビタミンB1などの水溶性ビタミンは透析性があるため、気がつくとビタミンB1欠乏となってしまう可能性があります。不足しないよう注意しましょう。
5.心不全の合併が多い
腎不全・透析患者さんでは心不全の合併が多いです。
そういう患者さんでは、特に肺水腫になりやすかったり、透析中に血圧低下しやすいので、特に注意してください。
そういう場合は輸液にかぎらず、食事でも塩分・水分を減らせないか考えてみて下さい。
どうしても、入れられる水分が多くないのでカロリー摂取が難しくなります。
カロリーについては、
なるべく早めにカロリーを増やせるよう、食事をなるべく早めてあげると良いと思います。
まとめると、
・透析間の体重増加が多すぎないように注意し、多いようなら輸液量としては塩分・水分が多いことが多い。
・カリウムは0だと、低カリウムになることがあるので採血フォローを
・ビタミンなどは不足しないよう注意
です。