合併症のない若年患者さんへの輸液組み立てメニュー

点滴メニューの組み立て-問題@-

健常な方の点滴メニューの組み立て問題

では、この問題を解いてみましょう。

 

点滴メニューの組み立て-問題@-

 

 

STEP@-Do No Harmから始める
この患者さんにとって適切な量はどうか
NaClを入れ過ぎた場合:腎機能も正常で若く、心機能も良い。
               無理をしても耐えられる確率が高い
NaClが少なすぎた場合:食事が取れないので、最低限はとっておいた方がよいだろう

 

水を入れ過ぎた場合でも、腎機能もよく、摂取した水はそのまま水利尿となり、尿に排泄される確率が高い。沢山入れすぎても何とかなるだろう。
水が少なすぎた場合、口渇感で水を飲んで自己調整してくれそうだ。

 

カリウムは過不足なければよさそう。

 

 

STEPA〜1日に必要な塩分量の目安
では。この患者さんのメニューを決めましょう。l
1日に必要な維持電解質量は
Na50〜100mEq、K10〜40mEqです。
食塩1gが17mEq、つまり食塩を3〜6gくらい

この患者さんであれば、それぞれが入れすぎても少なくとも代償できるが
沢山入れる必要はないので、
Na50(塩化ナトリウム3g相当)、K30mEq程度で十分とかんがえられる。
(ちなみに塩12g、カリウム40mEqでも、多く入れてもよっぽど大丈夫だが、有効循環血漿量は低下していないので、あえて沢山入れる必要はない)
 
 
STEPC〜水分量を決める。
この方は腎機能もよく、希釈障害もなさそうなので、30ml×50kgとします。
水は体重50kgとして、1500mlにしようと決めます。
 
 
STEPD〜実際に点滴を選ぼう
・50(塩化ナトリウム6g相当)

・K30mEq
・水は1500ml
で入れるとしましょう。
これに近い液はありますか?

 

あります。

ソルデム3AGやソリタT3などの3号液は1Lあたり

Na     35 mEq/L 1Lあた35mEqのナトリウム
K     20 mEq/L 1Lあた20mEqのカリウム
なので、これを1500mlであれば

Na=35×1.5=52.5mEq
K=20*1.5=30mEq
水1500ml
の量が入る輸液になります。


なので、3号液1.5Lというのが
この患者さんの輸液の正解への考え方です。

 

STEPにそって
1.入れ過ぎるとどうなりそうか
2.ナトリウム・カリウムをどれだけ入れるか
3.水分をどれだけ入れるか
4.上記を満たす輸液を選ぶ・作る

 

となります。

 

 

輸液解説に戻る
HOMEに戻る

このエントリーをはてなブックマークに追加  

合わせて読みたい関連記事

透析患者の水分管理 点滴・輸液の考え方
透析患者さんの場合の輸液の組み立て方を学びます。

 

輸液の3要素
輸液の3要素の復習です。

 

点滴をする上で気をつけないと行けない患者さん達を知ろう
どのような患者さんたちでは、特に注意が必要か、知っておきましょう。

 

一日に必要な電解質(ナトリウム・カリウム・水分)
1日に必要な量は、大体どれくらいになるか。を知っておきましょう。

 



点滴メニューの組み立て-問題@-