インスリン製剤について豆知識

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1921年、初めてインスリンの抽出に成功(犬)。
1922年、初めて糖尿病患者にインスリンが投与された
1923年、インスリン製剤化(ウシやブタの膵臓より精製)
1946年、中間型インスリン開発。
1981年、日本でインスリン自己注射が保険適応となる。
1982年、遺伝子組み換えヒトインスリン開発。 (大腸菌や酵母にヒトインスリン遺伝子を組み込んで、彼らによって合成されたインスリンを精製する。)
2001年、超速効型インスリン発売。
2003年、持効型インスリン発売

インスリンの種類

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インスリン製剤について豆知識
最も標準的な製剤。ヒトインスリンそのもの。レギュラーインスリン(R)と呼ばれる。
作用発現時間 約30分、最大作用時間 1〜3時間、 持続時間 約5〜8時間。
点滴に混注するのは、このタイプのインスリンになります。
皮下注射する場合は、追加分泌を補うために用いる。この場合、食前30分前に注射しなければならない。

商品名:ヒューマリンR注、ノボリンR注、イノレットR注、ヒューマカートR注 等 




超速効型インスリン

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作用発現時間 10〜20分、最大作用時間 1〜3時間、 持続時間 3〜5時間。
ヒトインスリンのアミノ酸組成を遺伝子工学的に一部組み換えたインスリンアナログ製剤。

商品名:ヒューマログR(インスリン リスプロ)、ノボラピッドR(インスリン アスパルト)、アピドラR(インスリン グルリジン)など
効果発現の速さは、アピドラR>ヒューマログR>ノボラピッドR

超速効型インスリンは、皮下注射後、直ちに単量体または二量体となり、速やかに血中に吸収されます。
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速効型インスリン同様、追加分泌を補充するために用います。
速効型インスリンは食前30分前の注射が必要ですが、超速効型インスリンは食直前の注射です。
低血糖頻度の低下、QOLの向上(食直前の注射でよいため)、心血管障害の発症率低下等の利点があります。



中間型インスリン
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作用発現時間 1〜3時間、最大作用時間 8〜12時間、持続時間 約18〜24時間
速効型または超速効型インスリンにサケの精子から抽出したプロタミンと亜鉛を添加して、結晶化した製剤。NPHインスリンと呼ばれます。

商品名:ヒューマログNR、ノボリンNR、ヒューマリンNR、イノレットNR、ヒューマカートNR 等

結晶化製剤のため、白濁しており、皮下注射前に十分な混和が必要です。
基礎分泌を補充するために用いるが、持効型インスリンと比べると、作用のピークがあるため低血糖の頻度が多い、作用時間が短い、作用のばらつきが大きい等、欠点が多く、基礎分泌を補充する目的としては、持効型インスリンに主役の座を明け渡しています。



持効型インスリン
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ヒトインスリンのアミノ酸組成を遺伝子工学的に一部組み換えたインスリンアナログ製剤

基礎分泌補充に用いるインスリンの主流。食事と関係なく注射可能ですが、毎日決まった時間に打つ必要があります。



混合型インスリン
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速効型または超速効型インスリンと中間型インスリンを混合した製剤。

商品名:速効型混合;ノボリン30R注R、ヒューマリン3/7注R、超速効型混合;ノボラピッド30ミックスR、ヒューマログミックス25R等
(例えば、ノボラピット30ミックスなら、超速効型成分が30%、中間型成分が70%の混合という意味)

単独で追加分泌と基礎分泌の療法を補充できます。。そのため、注射回数を少なくでき、1種類の製剤でよいため持ち運びが便利等の利点があります。
結晶化製剤のため、白濁しており、皮下注射前に十分な混和が必要です。

速効型・超速効型成分と中間型成分の割合の調節が困難、注射時間が不規則になると低血糖の危険が高まる、基礎分泌の補充が中間型となるため食前血糖値の低下が不十分となる、等の欠点もあります。
実際には、なかなかコントロールがつきにくい方法ですが、コンプライアンスが悪い方に頑張って使ってもらっているという場合も多いです。




インスリンの1単位とは

インスリン1単位は、約 2 kg の 24 時間絶食ウサギの血糖を 3 時間以内に痙攣レベル(約45mg/dl)にまで下げうる量と定義されています。


インスリン吸収速度に影響する因子

注射部位:腹壁>上腕>殿部>大腿 の順に速い
温度:気温や体温が高いほうが速く吸収される(入浴など)
血流:血流が多いほうが速く吸収される
深さ:深く注射したほうが速く吸収される←注射する側も注意必要
運動:運動により吸収が速くなる
喫煙:喫煙により吸収が遅くなる


インスリン製剤の保存

凍結を避けた暗冷な状態、つまり4℃の冷蔵庫(ドア)で保存します。。一度凍結したインスリン製剤は使用できません。

使用中のペン型注入器やインスリン製剤・注入器一体型は、冷蔵庫で保存すると結露して故障の原因となるおそれがあるため、室温で保存します。
使用期限は2〜3年(製剤により異なります)。 開封後の使用期限は4週間とする製剤が多いです。




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