パルボウイルス感染症(parvovirus)
世界中どこでも散発的に発生するが、春に好発するウイルス感染症です。
成人の場合、子供からの感染が多いとされるため、周囲に小さな子どもがいるかどうか問診しましょう。
成人の70%はparvovirus B19 特異IgG抗体をもっています。
暴露から5〜10日が最も感染性が高いです。
第1期 インフルエンザ様症状 or 無症状
第2期 関節痛、関節炎±皮疹(この期には感染性はもう無い)
飛沫感染、垂直感染、血液感染
成人のパルボウイルス感染症の症状
25% 無症状
50% 発熱、倦怠感、筋痛など非特異的
25% 皮疹、関節痛、浮腫
風疹との鑑別が困難な場合があります。
確立した5大症状
伝染性紅斑(fifth disease)
関節症(polyarthropathy syndrome)
胎児水腫、子宮内胎児死亡(hydrops fetails)
慢性的溶血疾患患者の骨髄無形成クリーゼ(transient aplastic crisis)
免疫不全患者の慢性的赤血球瘻(persistent anemia)
・皮疹を認めない場合は関節リウマチの早期と間違うことがあります。
・関節痛/関節炎は成人女性>男性・小児で認めやすいです。
・関節痛は通常、対称性・手の小関節・手関節・膝・足関節に好発します。
・関節痛は約3週間で軽快する。関節破壊は起きない。
・心筋炎:心筋炎、拡張型心筋症
・その他:血管炎、腎炎、リンパ節炎、髄膜炎・脳炎、血球貪食症候群、劇症肝炎、全身浮腫の原因ともなります。
成人のパルボウイルスの診断
免疫がしっかりしている人は
・血清IgM抗体やIgG抗体の測定
・IgM抗体…感度70〜100%、特異度76〜100%
・リウマチ因子、抗核抗体、EBV-IgM抗体は偽陽性の原因
・NAATの方が感度高い
免疫不全者
・核酸増幅検査(NAAT)
感染の既往の検査はIgG抗体も有用で、暴露した妊婦の検査に有用
感度・特異度とも非常に高い
成人のパルボウイルスの診断A
IgM抗体は暴露から7〜10日で認めはじめ、?最大5か月持続します。
IgG抗体のペア血清でも診断できるますが、保険が効かない検査なので、非臨床的でもあります。
IgG抗体が有用だが、IgGは感染後15日程度で出現する
パルボウイルスの感染は、小児ではりんご病ですが、
成人では関節炎などや色々な症状を起こします。
SLEみたいな皮疹・関節炎と補体の低下や抗核抗体の低下をおこしてしまい、SLEの分類基準を満たしてしまう例もあります。
若い、治療の全く必要のない女性をSLEと診断してしまい免疫抑制剤などを使ってしまう場合もあり、注意しましょう。
