トップへ戻る

研修医の勉強方法や使える医学知識の習得

医師のはじめての転職(病院移動)

初期研修が終わった2年後や
3年目以降どこかのタイミングで、ほとんどの医師が病院を移動します。
その時の注意点や、移動前にしておいたほうがよいこと、やっておくべきだったなと感じたことを書いていきます。

 

 

 

@経験症例のサマリを作っておく

今いる病院で経験した症例の中で、専門医取得などに必要な症例は、必ずサマリとしてまとめてから病院を移動しましょう。特に新専門医制度では、自分が経験した症例の数が非常に重要となります。

 

 

例えば、内科専門医取得のために必要な症例を経験したとしたら、その症例をサマリにし、提出できるような形でまとめておくことを忘れてはいけません。内科専門医の場合だと、次の病院で経験できない症例が必要になることがあり、特に病理解剖やマイナーな科の症例などでは経験できず苦労する場合があります。

 

 

中には、病院を一度移動した後に必要な時にもどれば良い、と考える人もいますが、実際に移動した後に距離の離れてしまった病院に戻る労力カルテを見られるようにする労力を考えると、大きな時間的損失があります。また昔のことなので記憶から遠ざかってしまう場合もあります。

 

 

 

A社内スキルと汎用スキル

社内スキルと汎用スキルというのは転職用語ですが、病院移動でも同じことが言えます。

 

社内スキルというのは、今の病院では役立つが他の病院では役に立たなスキルです。
 例:誰にコンサルトするか、どんなタイミングで相談するか、というようなこと

 

汎用スキルというのは、どこに行っても同じことができる能力です。
 例:患者さんへの問診や、プレゼン力、勉強量や勉強方法、手術のスキルなど

 

 

何年も同じ病院に居ると、社内スキルは高くなります。具体的には、先輩後輩ができ、職場のスタッフとも意思疎通がしやすくなります。すると、仕事がスムースに進むようになり、一見仕事ができる風になります。しかし、そういったことを仕事ができるパラメーターにしてはいけません。

 

 

なぜなら、社内スキルは病院移動してしまえば、それまでの人間関係は0に近くなり、一気に仕事がやりづらくなり、また知識や経験不足であっても人に質問すれば何とか仕事ができていたのが、できなくなってしまいます。

 

 

そのうえ、移動した職場の同僚と比べられる際には、比較相手の社内スキルが高いのが当然なので、慣れていなくても評価される能力が必要です。

 

 

ちなみに、慣れない病院だと仕事をしづらいのは、みな同じです。それを気にして落ち込む必要はありません。

 

 

そういうスキルの分け方があるんだなと知って、汎用スキルが上がるよう意識していきましょう。

 

 

汎用スキルは、自分の医者としての能力です。勉強をして、どこでみても質の高い診療をできるようにしておくことが重要です。

 

キーワードは、「自分一人でこの患者さんを診たときに一番良い治療をできるようにする」ことです。目の前の患者さん一人一人を大切にして、臨床能力を上げましょう。

 

 

B身の回りのことは、病院移動して働き始める前に整えておく

次の病院に移動すると、仕事と環境に慣れないために、同じ仕事量をしていても何倍も疲れます。指示出し1つにしても、ルールが違っていたりするためにとても時間がかかります。

 

 

そうしたなかで、自分の時間がなかなか作れなません。そのため、買い物や家の模様替えなど時間を取れないことがあります。

 

違う病院に移動する時に、特に引っ越しをして新しい場所に住む、というような時には、働きはじめる前に、家の家具や必要物品の準備など、身の回りのことは終わらせておくべきです。

 

 

C発言力とエビデンス

病院が変わると、自分の立場も変わります。
今までは、自分の能力を(高いにしろ低いにしろ)ある程度把握しているスタッフに囲まれて働いているので、自分の発言力は自分のちから(+社内スキル)で認められているのですが、病院を移るとそれが認められなくなります。

 

今までだったら、『私はこうだと思う』 で通っていたのが、通らなくなります。なぜなら、それを通してくれていた社会的な証明が転職と同時になくなるからです。

 

そういった時に自分を(ある程度)守ってくれるのは、『エビデンスを取り出す早さ』です。
意見を述べたら、Whyに答えることが必要で、そのWhyを出すまでの時間が短いほど有効です。

 

例えば意見を言った時、『なるほど、そういう考えがあるのですね。』というタイミングで、『はい、こんな文献があります』って手元のiPadなどから出せたほうが、説得力が増すのはイメージ頂けるかと思います。

 

(ただし、対立する意見でこれをする場合は、同じ行動でも空気が悪くなりますので要注意)

 

 

Dローカルルールとローカルルール

Cとは一見真逆なように見えますが、ローカルルールというのは確固として存在します。
特にコメディカルにとっては『ローカルルールは先輩から教えられた(もしくは学んだ・自分たちで決めた)ルールなので、常識だと思っています。

 

医学的に多少間違っていたり、よそでは当たり前ではないことも当たり前だと思い使用しています。薬の処方の修正は、医師から薬局に電話して中止と伝えたあとに、指示簿とオーダーと掲示板に修正して伝えるのが当たり前です。みたいなことを言ってきます。オーダーが変えれない場合はどうしましょう?と伝えても、そんなのは知らないです、とりあえず調べてやってくださいみたいなこと言われたりすることもあります。

 

ではそれに対して、(医学的に明らかに了承できないようなことは別として)ある程度そんなもんだ。という気楽な気持ちでいることが大事だと思います。Cのように正論で真っ向勝負というのが功を奏さないことがあり、その場合はとてもやりづらくなります。

 

ある程度慣れてきて、意見が意見として受け入れられる素地ができたら、相談してみると良いと思います。

 

 

 

 

ということで、環境が変わって大変なところも多いですが、準備をしておくことでやりやすさは増していきます。そして、新しい職場に転職して移動するととても新鮮な気持ちになり、新しいことを学んだり実行したりすることができ、それはとてもワクワクするものです。そうなるように頑張ってみましょう。